onzoko
 Dotanba
  Donidemonare

20世紀も終わりに近く、
人類は食糧危機・最終戦争そしてエイズの影におびえることもなく
乱痴気騒ぎを続けていた。
その一人、貧田冗(ひんだじょう)は、
地球を離れること14869.14152360679パーセクに
存在するはずのセブンスターから派遣された調査員
スリーセブンと出会った。
日本たばこ産業株式会社の製品マイルドセブンに
化身したスリーセブンは貧田冗の
貧しくも陽気で軽薄な生き様に感動し、
セブンスターのサイコメカ3Dメガネを授けた。
これによって貧田冗は
大衆の用心棒・正義のブルーカラー、3Dマンに変身するのだ。
人知を越えた能力を発揮する3Dマンではあったが、
たった一つ弱点があった。
貧田冗の食糧摂取額がひと月6000円を越えると、
3Dメガネは無効になってしまうのだ。
人は彼を、6000円の男と呼ぶ!!

女性が夜道を一人で歩くのは危ない。

   

背後から狙う影。

襲いかかる空気人形。

横たえられ、

何をされるのか?


「いかせます」怪人は吠えた。

新宿

ここにもぐりのセックスカウンセラー、
平等(たいらひとし)の診療所があった。

  
「ほほう。化け物に性感マッサージされたんですね」
怪人に襲われた女性が訪れているらしい。
「それ以来、男性に興味がもてなくなったんです」
「すると女性に?」
「女でもダメです。

それどころか、ナスもキュウリもニンジンもダメなんです」
「なるほど。性欲がなくなったということですね」
同じ内容の患者はもう10人目であった。
平は事件だ、とばかり貧田のもとを訪ねた。


平は3Dマンのマネージャーとして貧田の面倒をみているのだ。
一ヶ月の食費が6000円を超えないように食事の管理もやっている。
「貧田、おまえ変身ヒーローとしての自覚があるのか?」
「そんなこと言ったってよお。
いままであんたが持ってきた事件を見れば、
カゲスターだってやる気なくすぜ」
貧田冗はなんともやる気がない。
これまで平が持ち込んだ事件は猫のひげを切って回る男とか、
しつこいナンパ師がいるとかいうあまり社会性のないものばかりであった。

煙草を取り出そうとする平に「俺にも一本」と
貧田がねだったが・・・

「おまえはこっちだ」と平はゴールデンバットを取り出した。

「ヒーローはつらいねえ」
「で、今度はなんだい?」
「連続性感マッサージ事件。女といわず男といわず、
セックス盛りの若者が謎の性感マッサージ師に襲われる。
襲われた者はことごとく性欲を失っているのだ」


「ちょいと下品だが、やっと事件らしいのが出てきたな」
早速聞き込みに出かけようとする貧田を平が引き留めた。
「待て。その前に片づけなきゃならん仕事がある。
浅草へ行け。14時の約束だぞ」